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2005.03.11

3/10のこと

母が 3/10の話をした。

今までにも聞いたことがあるから
特別な事ではない。

小学生だった母は祖母と母の姉と
焼夷弾の雨が降る下町を必死に逃げる。

小学校の防空壕に入っていたが
あまりの火の勢いに祖母は外に出る決心を・・・
(蒸し焼きを免れた)

下着の「おこし」を防火槽で濡らして
子供達の顔を覆い
戦火の中をひたすら駆け抜けた。

隅田川は 水を求めて飛び込む人で埋まり
その背中を火が走り 死体の山となる。
母は今でも 隅田川沿いにみた大きな穴に 
遺体が放りこまれる光景が忘れられず 
今も近寄る事に抵抗があるようだ。

「桜は綺麗かも知れないし 
遺体は掘り出したと言うけど
悲しみと無が埋まる土地」と言う。

母は戦火を逃れたが
避難先のバラック小屋の屋根が壊れ
その破片が目に刺さり失明寸前となった。
祖母が闇市で物を売り 横須賀の米国の闇市で
一本1万円もする「
ペニシリン」を入手。
(現在の薬価は200円前後)
失明は免れたが その傷はかなり重く
今も眼科検診があると 傷跡にドクターが驚く。

一通りの話をして 最後に言った言葉・・・
「よく生きていたし そのあとも長く生きてるね」
泣かない母の目に涙が光っていた。

「戦争はいけないこと」と思っていても
その惨さを 戦後生まれは体験していない。
命をもぎ取られる怖さを知らない。
今年の母の涙は こんな事を意味しているのだろうか?

この母から視力を奪った戦争。
そして左半身の自由を奪った病気。
もうこの母から何も奪わないで欲しい。
今月末 母はまたひとつ歳をとる。
母の長寿を祈りたい。

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薔薇の告白」カテゴリの記事

コメント

うちの父親といい、冬薔薇さんのお母さんといい すぐ身近に経験者がいるものなんですよね。でも身近すぎてちゃんと話を聞いてなかったりするのです。反省。

投稿: デン助 | 2005.03.11 23:35

毎年聞いていると
今まで これは聞いてなかったぞ・・・
そんな話もあります。

今年は 
やっとお風呂に入って
着ていたものを洗濯して・・
ろくな洋服を着ていなかった所に
空襲があったと聞きました。

投稿: 冬薔薇 | 2005.03.12 01:08

何年か前
長女が小学校低学年の頃ですが
「ほたるの墓」を観ても
お兄ちゃんが声を上げて泣く理由とか
食べ物がなく追い詰められた生活とか
戦時中の諸々の事情、いくら説明しても
なかなか理解できなかったことを思い出しました。

冬薔薇さんのお母様・・・
いい娘さんがいらっしゃることが
本当にお幸せだと思います。


投稿: クレオ | 2005.03.12 20:07

クレオさま

親不孝者の冬薔薇で御座います。
母の記憶は小学生の記憶ですから
本当の「戦争の記憶」は
こんなものではないと推測されます。

泣き祖母の話は 
もっと生々しかったと記憶しています。

折に触れ 私の覚書としても
祖母や両親から聞いたことを
書いていこうと思います。

投稿: 冬薔薇 | 2005.03.12 21:39

戦争のことは、なかなか話を聞く機会もないし、テレビで見たりすると何だか映画のような感じになっちゃって、現実味がないんだよね。
私は、阪神大震災を経験(うちは被害は少なかったけど)して、その時に、食べる物を手に入れるのが大変だったり、水やガスが何ヶ月も使えなくて、周りで家が壊れてたり、道が割れてたり、電信柱が倒れてたり・・・
仕事に復帰した時も、化粧してパンプスはいていけるような状態ではなくて、ジーンズにスニーカー、そしてリュックを背負って出勤。大阪で食料を買い出しして帰って来たりしてました。
その時にはじめて戦時中とか戦後って、こんな感じだったのかなぁって実感したような・・・
できれば不幸な体験はせずに、戦争の悲惨さが伝えられればいいなと思いますね。

投稿: としちゃん | 2005.03.12 22:01

としちゃん さま

この記事を書いたあと震災の事を思いました。
どんな様子だったのか。。。
テレビでは伝わらなかったこととか・・

貴女にこうしてコメントをいただき
とてもよかったです。
有難うございました。

投稿: 冬薔薇 | 2005.03.12 22:25

遅れまして。
戦争の話はあくまで私は話でしか聞くことが出来ません。広島のお客さんの話を聞くと、こちらの想像を絶することばかりです。
人格をも変えてしまうばかりか、人が人と思わなくなるような、そんな感覚がまかり通る。
理不尽でしかない。ブッシュがイラクのことを少しも考えてないのことも含めて、戦争反対、です。

投稿: コングBA | 2005.03.12 22:53

コングさん

私も体験談を聞くのみです。
ただ母が戦争で怪我をしていますし
祖母からも 折に触れて
東京大空襲の下町の話など
聞いておりましたので
ブログを通して皆さんにお知らせ
そして 私の覚書に記してみました。

人間として 医療人として
人を傷付け 命をもぎ取る戦争は
絶対反対です。

投稿: 冬薔薇 | 2005.03.12 23:03

私たちが教育を受けてきた頃と、現在の教育とでどうも戦争に対する温度差があるように思えて仕方がありません。

戦争は"理性の敗北"だと思っています。抑止できるのは政治。

我々大人の手に委ねられているんですよね。

貴重なお話、ありがとうございました。

投稿: Solid Inspiration | 2005.03.13 00:29

Solid Inspirationさま

今の時代に
「戦争でかたをつける」は
ナンセンスですよね。
でも「攻撃」して「テロ」されて
また仕返しをする。

何ともお粗末な「歴史」です。

投稿: 冬薔薇 | 2005.03.13 13:59

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